アトピー性皮膚炎 「痒い」は「痛い」より辛い
今日はアトピー性皮膚炎のかゆみを改善する化合物を発見した
という記事を見つけたので
アトピー性皮膚炎について書いてみます
アトピーのかゆみ改善する化合物を発見…佐賀大グループが製薬会社と新薬開発へ (msn.com)
わたしの子供は3人いますが、次男はアトピー性皮膚炎です
毎日朝・晩2回全身に薬を塗って、アレルギー薬を飲んでいます
それでも痒くて寝ている間もボリボリと搔き壊してしまいます
皮膚科で働いていた際、皮膚科専門医の先生は
「痛いのは薬が効くことが多い、痒いのは薬の効果が薄い」
「痛いは少しずつ薄れる、痒いは増強する」
と言っていました
発酵食品がいいと聞くと試し
軟水がいいと聞くと試し
〇〇のオーガニックせっけんがいいと聞くと試し・・・
皮膚にいいもの、アトピー性皮膚炎に効果のあるものを
いくつも試してきました
実際効果があったと感じたものは正直ありません
効果があるほど継続できたものがないと言った方がいいかもしれません
あらためて
そもそもアトピー性皮膚炎とは?
国立成育医療研究センターより引用
アトピー性皮膚炎 | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、皮膚の"バリア機能"(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることや皮膚に炎症があることが分かっています。外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて、かゆみを感じやすい状態となっており、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。成育で出生したお子さんを追跡している成育コホート研究から湿疹の経過には様々なパターンがあることが明らかとなっています。
(中略)
アトピー性皮膚炎の悪化要因
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は、1つの要因だけでなく、以下のような様々な要因が重なり合って起こることが多いため、これらの悪化要因の対策を行うことも治療を行う上で大切なことになります。お子さんによって悪化する原因は異なります。
- 季節の変化?秋や冬に悪くなる?花粉の時期に悪化?
- 生活環境の影響?
- ペットが影響?
- 汗やよごれが影響?
- ストレスが影響?
- 風邪をひいたり、体調不良が影響?
アトピー性皮膚炎治療の3本柱
アトピー性皮膚炎の治療は、①スキンケア ②薬物療法 ③悪化要因の対策の3つが治療の基本となり、どれも欠かすことができません。正しい治療を行うことで症状をコントロールして、湿疹などの症状が出ない状態にすることができます。
治療の実際
標準的治療の①スキンケア(皮膚の清潔を保ち、うるおいのある状態を保つこと)②薬物治療(皮膚の炎症を抑える治療)③環境整備(環境中の悪化因子をみつけ、可能な限り取り除くこと)の三本柱を中心にした治療により、「寛解導入(症状を改善させ湿疹のないすべすべのお肌にすること)」を行います。
お肌の炎症をとる抗炎症薬物治療薬は以下の通りです。
<外用薬>
- ステロイド外用薬 (治療の基本となるお薬です)
- タクロリムス水和物軟膏(2歳以上)
- ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬 (2歳以上)
- ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(2歳以上)
次男の場合の悪化要因は
- 季節の変化、季節の節目や秋冬に悪化
- 生活環境(水質、食事、洗剤、衣類など)
- 夏は汗で悪化
- 風邪をひいたり、体調不良時に悪化
が当てはまりそうです
悪化要因は複数あるので、悪化要因を可能な限りひとつひとつ取り除き続けることが必要となります
薬物治療ではタクロリムス水和物軟膏(プロトピック軟膏)が
効果がありました
ステロイド治療+アレルギー薬内服の際は、ステロイド軟膏を塗らない日を
つくるとすぐに悪化していましたが
タクロリムス水和物軟膏を追加してからは描き壊しが激減しました
悪化要因がひとつではなく、個人で多岐にわたるため
だれかに効果があってもほかの人にも効果があるとは限りません
「痒い」はとても辛い症状です
より多くの選択肢ができ
ひとりでも多くの患者さんの「痒み」の改善につながってほしいと願っています